コールゴムのクレームで多いのは「スリップイン」です

コールゴムの縫製でクレームとして多いのは「スリップイン」という現象です。この現象は、コールゴムをカットした切り口から、強い力で何度か伸縮させると「芯ゴム」が中に入って浮いてしまい、ゴムひもとしての戻ろうとする力が無くなってしまう状態です。見た目には、ゴム糸の先が浮いて行き場が無くなり、波打ち状になります。(参考写真①)

①スリップインの状態(耳なし)
②リングに縫製された状態(耳あり)

この現象は、コールゴムの組織の特性上、避けることができない問題です。解決方法としては、コールゴムをカットした切り口を縫製する場合、なるべく縫い代を多くとり、ゴム糸が抜けないようにしっかりと縫うことが大切です。そのため、リング加工の際も縫い代が長い「耳あり」をお勧めします。(参考写真②)

しかし、お菓子などのラッピングのように、見た目重視で何度も使用しない用途に関しては耳なし縫いのほうが向いていることもあります。

園児帽や紅白帽、通学帽のあごひもについては、「ゴムひもの芯ゴムが切れて伸びなくなった」というような苦情をいただくこともありますが、これもほとんどが「スリップイン」のクレームで帽子の縫製箇所がしっかり縫われていなくて芯ゴムが抜けています。

対応策としては、ゴムひもを折り曲げ2重にして縫うか、ゴムひもの先に結び玉を作って縫えばスリップインが起こりにくくなります。ぜひお試しください。

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